ふと思うこと。
僕の声は聞こえているんだなと、ふと思う。
1人で、ブツブツと呪詛のように吐き出される愚痴も、
誰にでもなく言いたくなった感謝も、
思わず飛び出た興奮・喜びの叫びも、
誰かの目に止まっていて、時として誰かが拾ってくれるんだなと。
1人なのだと思っていた。
私は1人で、誰にでもなく言葉を吐いて、1人でそれを眺めては、満足したり、しなかったり。
そこには確かに誰もがいるけれど、誰もいないのだと思っていた。
誰にも、何も見えていないのだと思っていた。
あるとき、その場から動いてみようと思い立った。
まるで石になったように動かなかった足を、引きずるようにして動かしてみた。
ただなんとなく、何度も目の前を通り過ぎていく光を追いかけてみようと。
その光はいくつもあって、その中でも1番近くて、一際輝いているものに触れた。
いいな、と思った。
その光は私の憧れとなり、私はその憧れを言葉にするようになった。
よく見ると、光はそこかしこに存在していて、それぞれ個性的に輝いていた。
触れられるものにはなるべく触れた。
いつしか、私も光になりたいと思うようになって、その気持ちを言葉で吐いた。
すると、それを拾った人がいた。光そのものだった。
1人じゃない。
誰かがいて、私の声は聞こえていて、時には一緒に話をしてくれる。
声をかけてくれるだけで、こんなに嬉しい。
時折、1人の感覚に戻るけど、誰かが何度でも思い出させてくれる。
僕の声は聞こえているんだな、と。